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同化の傷痕 タイヤルとアイヌと日本人-logo

2027年劇場公開予定

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Introduction

日本は台湾を1895年から太平洋戦争敗戦まで

50年間にわたり植民地支配した

日本統治時代に警察官を務めていた父親を持つ陳振和さん

彼のことを友人たちは「和夫」と呼ぶ

日本時代の名前が泉和夫だったからだ

そして、彼にはもう一つの名前がある

Kayo Puna

台湾原住民族タイヤルの名前だ

​

「親日」として知られている台湾

観光旅行やビジネスなどで多くの人が訪れている

しかし植民地統治をはじめた頃の台湾原住民族との戦い

その後の同化政策の歴史を知る人はどれだけいるだろうか

彼らが伝統的に守り続けてきた土地、山林資源、言語や文化が奪われた

​

それはアイヌ民族への同化政策とも重なる

彼らが暮らした土地を、川を、文化、遺骨を奪い、アイヌ語の使用を禁じ

名前を日本名にし、そして「集団」を壊した

​

タイヤルは「人間」

アイヌも「人間」という意味

しかし大日本帝国は、彼らを「蕃人」「旧土人」と貶めて

日本臣民として同化することを強要した

 

「生きる」大川小学校津波裁判を闘った人たちの監督

寺田和弘が6年の歳月をかけて本作を完成させた

監督の従妹の母は主人公の和夫さんの妹でもある

エンディングを奏でるのは日本とタイヤルにルーツを持つエリ・リャオ

 

重なり合う侵略・支配の歴史から

未来をともに考える―

タイヤルは¨人間¨という意味

動物でもない 野蛮人でもない

タイヤル・バライという言葉は

¨本当の人間¨という意味

アイヌは¨人間¨という意味

自然の物事が起きる中で人間は暮らしている

そういう存在がアイヌ

comment

 市川守弘 (弁護士)
本作は、台湾原住民族タイヤルの男性が歩んだ波乱の半生を軸に据え、近代以降、日本や中華民国によって居住地を追われ、人権を侵害され、国家による同化の波に翻弄され続けてきた人々の苦難と、自らの尊厳をかけて再起する現在の姿を鮮烈に映し出している。
さら
に特筆すべきは、その軌跡を北海道アイヌが辿った歴史的経緯と重ね合わせる手法だ。植民地主義という暴力が、先住民の魂にどれほど深い爪痕を刻んだかを鋭く告発している。
16世紀より漢族が流入した台湾において、清朝は当初、原住民の地
を「化外の地」とし、一定の配慮を見せていた。しかし 1895年、日清戦争後の下関条約で日本が統治を開始した際、中央山脈や東部沿岸には依然として先住の民が自治を営んでいた。日本はこれら豊かな森林資源を求めて彼らを力で排除し、土地を「官有」とした。タイヤル族をはじめとする人々から生業の場を奪うことは、彼らの文化そのものを圧殺することに他ならなかった。彼らは法的権利を持たぬ「野蛮人」として差別され、過酷な労働へと駆り出されたのである。

日本軍は砲火によって村々を蹂躙し、抵抗する人々の平穏を奪った。霧社事件が広く知られているが、語られぬ壮絶な弾圧は各地で起きていたに違いない。日本人として、我々はこの加害の記憶を決して風化させてはならないだろう。
侵略と表裏一体で行われた同化政策により、彼らは母語や姓名を奪われて「日本人」になることを強
要され、侵略戦争の駒として戦場へ送られた。順次訪れたのは蒋介石率いる国民党の独裁と「白色テロ」による圧政だった。命の危険に晒された「恐怖の時代」を生き抜いた彼らの証言は重い。
1980年代の民主化を経て、よう
やく蔡英文総統の謝罪や憲法による権利の明文化がなされた。映画は、今の世代が先祖の名を取り戻し、奪われた土地の返還を求める力強い歩みを捉えている。特に日本政府に対し、歴史的責任に基づく協力を求める訴えは、観る者の心に深く突き刺さるはずだ。

アイヌ民族も同様に、蝦夷地を突如「官有地」とされ、サケ漁などの伝統権益を略奪された。独自のコミュニティ「コタン」は解体され、「保護」という虚構の名の下に同化が推し進められてきた。戦後の憲法下で形ばかりの平等は与えられたが、奪われた自然資源や自決権は回復されていない。それでも今、遺骨返還や伝統的漁業権の回復を求めて法廷で闘うアイヌの姿は、台湾の同胞と呼応している。
本作は、未だ十分に共有されていない台湾原住民と日本との葛藤を浮き彫りにし、それをアイヌの現状と共鳴させることで、近代日本が内包する歪んだ支配構造を赤裸々に描き出している。 

​

申惠丰 (青山学院大学 法学部 ヒューマンライツ学科 教授) 
「親日的」と括られることも多い台湾だが、日本の植民地支配(1895~1945)のことはどれだけ知られているだろう。タイヤル族ら原住民は「蕃人」=野蛮人とされ、「討伐」に続き日本人への同化政策の対象となった。そして、本来サケ漁を生業としていたのにその術を奪われ、1997年の北海道旧土人保護法廃止まで「旧土人」として「保護」の名の下に同化を強いられてきた、日本の先住民族アイヌ。先祖伝来の土地からの強制移住や、先祖の遺骨を尊厳あるかたちで祀るための遺骨返還問題など、抱える痛みは驚くほど似ている。タイヤル語は後から学んだというタイヤル族の和夫さん。彼らの面前に私たちも招かれたかのような近さでその語りに耳を傾け、国家が先住民族の人々にはたらいてきた暴力の傷痕に深く思いを致すことができる稀有な作品だ。 


大谷昭宏 (ジャーナリスト)
監督の寺田和弘さんと、アイヌ集団の権利のために闘う弁護士の市川守弘さんは、ともに私が敬愛するふたりだ。寺田さんはアイヌ民族を取材するなかで、従妹の口から台湾の原住民、タイヤル族を知る。
抑圧、迫害、弾圧、収奪…そして同化。2つの民族の歴史は、驚くほどオーバーラップする。
アイヌ差別にふれた朝日新聞の社説(2026・8・24)は、こう書く。
〈負の部分に目を背けた歴史観は過去に「奪われた」人々への新たな差別やヘイトの土壌となる。拡散に加担せぬよう、知ることで備えたい〉
この映画を「見ること」によって、もう一つ、新たな備えができた。

​

竹尾茂樹   (明治学院大学 名誉教授 /台湾原住民族との交流会 世話人代表)

ドキュメンタリー映画『生きるー大川小学校 津波裁判を闘った人たち』(2023)につづく寺田和弘監督の作品である。タイトル「同化の傷痕」につづけて台湾原住民族タイヤルと日本先住民族アイヌが併置されている。国家の支配を受けながら、両民族が近現代をいかに生きて来たか、タイヤルの夫と日本女性の妻への聞き取りと、浦幌のアイヌコミュニティーによる遺骨返還やサケの漁業権回復運動を軸に展開される。主流社会の周縁におかれた人々のアイデンティティーと生きる権利を求める運動は、過去の植民地支配の負の遺産を照らし、現代社会のあり方を問う。

Yabung Haning 【ヤボン】 (作家・台湾原住民族Truku族 青年会理事長)
このドキュメンタリーを見て、台湾原住民族の歴史の語り方にとても共感しました。今の台湾にはいろいろな歴史の見方があり、さまざまな植民地時代を経験してきたため、原住民族の正しい歴史を語るのは少し難しいのが現状です。しかし、難しいからこそ、それを乗り越えていかなければなりません。これは北海道のアイヌ民族の状況とも似ていると思います。
台湾と日本は、欧米とは違う背景を持っています。文化や地理的に近いだけでなく、日本統治時代という重なる歴史もあります。だからこそ、お互いの経験に寄り添いながら、原住民族の権利について深く話し合うことができるのだと思います。さらに、集団の権利や土地を返す運動、歴史のトラウマを癒やすこと、文化や心の健康を取り戻すことなどについて、政府にどう声を上げていくかという経験も互いに分かち合うことができます。
これは「過去の正義を取り戻し、これからどんな社会を作っていくべきか」という大切なことを教えてくれる、素晴らしい作品です。


 

呉さんの絵
同化の傷痕 (4).jpg

上映情報

2027年以降

劇場公開予定

寺田和弘.jpg

監督 寺田和弘

1999 年から 2010 年までテレビ朝日「サンデープロジェクト」特集班ディレクター。シリーズ企画「言論は大丈夫か」などを担当。2011 年からNHKや民放各局で主に社会問題を中心に番組制作を行う。
2023年ドキュメンタリー映画「生きる」大川小学校津波裁判を闘った人たちの監督を務める。同作品は第78回毎日映画コンクールでドキュメンタリー映画賞、第97回キネマ旬報文化映画ベスト・テン第2位、第10回浦安ドキュメンタリー映画大賞、第13回江古田映画祭特別賞を受賞。
その他の受賞作に2006 年 JCJ 賞「シリーズ言論は大丈夫か~ビラ配り逮捕と公安~」(テレビ朝日・ABC サンデープロジェクト)、2015 年テレメンタリー年間最優秀賞・ギャラクシー賞奨励賞「DNA鑑定の闇~捜査機関“独占”の危険性~」(テレビ朝日)がある。

Staff​

ナレーション/ 朗読

​中里雅子 / 井上弘久、川井奈緒美

エンディング歌

Eri Liao(タイヤル名 Sayun Ipuy)

​翻訳

 欧家君、杜建金、廖愛惠Ipuy Mashing  Eri Liao(Sayun Ipuy)

​技術

オンライン編集:庄子格 / MAミキサー:高梨智史 / 技術協力:HIGH PAIR

撮影:寺田和弘、濱野実 / 音効:半澤知宏、宮本陽一

参考文献

台湾原住民オーラルヒストリー 北部タイヤル族和夫さんと日本人妻緑さん (著)菊池一隆 集広舎

監修協力

特別協力
バリアフリー版制作

傅琪貽、市川守弘、加藤裕子

​加藤亮

NPOメディア・アクセス・サポートセンター

助成:

同化の傷痕 タイヤルとアイヌと日本人-logo

文化庁文化芸術振興費補助金 (日本映画製作支援事業) / 独立行政法人日本芸術文化振興会

製作・配給:合同会社寺田和弘film

2027年/日本/カラー/101分/ドキュメンタリー/日本語・タイヤル語・台湾華語

制作・上映へのご支援のお願い

2026年10月に、本作に登場してくださった陳振和さん、佐々木緑さんご夫妻、
陳初保さんを日本へお招きし、完成披露試写会の開催を行います。
こうした映画公開に向けた活動資金へのご支援をお願いしたく存じます。
ご協力いただける方は、誠に恐縮ですが下記サイトより手続きをお願い申し上げます。
ご支援の金額に応じたリターンも用意しております。

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